服薬時は水を使うべき?
この記事でわかること
・服薬の際には水以外を使えないか
・水とはなにか
・水道水、お茶を服薬に使ってはいけない場合
服薬の際に何で服用する
結論としては、内服薬を服用の際は200mL程度の水か白湯で服用するのがいいということになります。
また、水がない際は、お茶で飲むのも可能です。
しかし、例外や注意したほうがいい点もありますので、説明させていただきます。
お茶で薬を服用する
お茶で薬を飲むことについては、一般的には水が推奨されますが、お茶でも問題ない場合があります。
例えば、鉄を含む薬剤は、お茶に含まれるタンニンが鉄と結合してしまい、薬の吸収が悪くなるためお茶で飲むことは避けるべきです。
しかし、一般的に服用される緑茶であれば、そのお茶を使って薬を服用しても鉄の必要量は十分に吸収されることがわかっています。
ただし、濃い緑茶やコーヒーではタンニンの含有量が多いため、これらで服用することは避けたほうがよいと考えられます。
ちなみに、一般的な淹れ方をすると、タンニンの含量は以下のようになります。
・煎茶70mg/dL
・紅茶で100mg/dL
・玉露で230mg/dL
・コーヒーで250mg/dL
しかし、タンニンがどの程度含まれると鉄を含む薬剤の吸収に影響するかのデータは見つけることができませんでした。
データがない以上、お茶で薬を飲む場合は、濃くない緑茶にしておくのがよいと思われます。
スポーツドリンクやコーラでの薬剤を服用する
では、スポーツドリンクやコーラではどうでしょうか。
以下は、私たちが以前ある雑誌に投稿した際に測定した、飲料とpHの関係を図で表したものです。
スポーツドリンクやコーラは、pHが低い飲み物であることがわかります。
pHが低いということは酸性であるため、薬剤を服用する際に使用すると、薬剤の成分を分解させたり、薬剤の吸収に影響を及ぼしたりすることに繋がります。
スポーツドリンクやコーラで薬剤を服用することも避けるべきです。
具体的に薬剤の服用時にお茶を使用しないよう記載のある薬剤
・リスパダールⓇ内用液の添付文書には、以下のような記載があります。
「茶葉抽出飲料(紅茶、烏龍茶、日本茶等)及びコーラは、混合すると含量が低下することがあるので、希釈して使用しないこと。」
リスパダール®の成分は、リスペリドンです。
リスペリドンを含む内用液には、他社製品でも同様の記載がされています。
リスペリドンの内用液はどの製品も希釈して服用することも可能ですが、お茶で希釈すると含量低下を起こす可能性があるため、このような注意が記載されています。
薬剤の服用時に水道水を使用しないよう記載されている薬剤
・エビリファイⓇ内用液の添付文書には、以下のような記載があります。
「煮沸していない水道水は、塩素の影響により混合すると含量が低下するので混合しないこと。」
服用する際に、水道水で希釈しないよう指示がされています。
エビリファイⓇ内用液の成分は、アリピプラゾールです。
アリピプラゾールを含む内用液には、他社製品でも同様の記載がされています。
また「下記との混合により、混濁、沈殿や含量低下を認めたことから、混合は避けること。
—中略—
茶葉由来飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶、玄米茶等)及び味噌汁」とされています。
また、アリピプラゾールの内用液は、どの製剤もお茶だけではなく、味噌汁で混合や希釈をしないよう記載がされています。
薬剤の服用後にお茶の飲用が推奨されている薬剤
なお、サルプレップⓇ配合内用液には、薬剤に服用後に水かお茶を1L以上服用するよう記載されています。
薬剤服用後にはなりますが、このように記載されている薬剤もあるのです。
まとめ
薬剤服用時には、飲用水か白湯を使用するのが望ましいです。
また、大半の薬剤は濃くないお茶で服用しても問題ないようです。
しかし、例外もありますので、薬剤の服用に関して別に指導を受けた場合は、それに従ってください。
参考文献・サイト
現場の困ったにエキスパートが答えるQ&A簡易懸濁法 簡易懸濁法で投与する際の、配合変化の基本的な考え方について教えてください。、26、1102-1106、調剤と情報、2020
http://www.c-yaku.sakura.ne.jp/drug100/data/090.htm
YAKUGAKU ZASSHI 132(2):215-24, 2012
https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/50.pdf
タイトル写真提供|Elsa Olofsson/Unsplash
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