抗ヒスタミン薬における眠気、口渇以外の副作用
この記事でわかること
・インペアードパフォーマンスとは
・脳内伝達物質であるヒスタミンとは
・インペアード・パフォーマンスが原因で生じた交通事故
インペアードパフォーマンスとは
医薬品は、生体にとっては異物であり、その生体も個人間で大きく異なります。
つまり、どのような副作用が現れるか、個人間で異なるわけです。
また、その日の食べ物や食事摂取のタイミング、睡眠時間などでも異なってくることになります。
今回は、眠気と口喝の副作用として、インペアードパフォーマンスと認知症について述べたいと思います。
眠気は、睡眠につながります。
それが運転中なら短時間でも、事故につながります。
通常、人は眠いと眠いと認識するようになっています。
しかし、抗ヒスタミン薬を服用している場合、人は判断能力が低下していても気が付かないことがあります。
抗ヒスタミン薬は、眠気を感じなくて、判断力や運動能力が低下することがあるのです。
これをインペアードパフォーマンスといいます。
脳内伝達物質であるヒスタミンとは
脳内伝達物質であるヒスタミンは、脳内で覚醒状態を維持だけでなく、学習能力を高めたり、運動量を増加させたりするという働きを持っています。
抗ヒスタミン薬は、服用によって薬剤が脳に移行すると、脳内でのヒスタミンの働きを抑えるという結果となります。
インペアード・パフォーマンスは具体的には、
・集中力低下
・判断力低下
・作業効率低下
が生じることを指しています。
私は、抗アレルギー薬について服薬指導する際、成人には自動車の運転や高所の作業には注意してくださいと言っています。
抗アレルギー薬の作用の強さや眠気の生じやすさは人によりさまざまで相対的なものですが、一般的に眠けが強いとされている薬剤の場合には、その注意をしっかり伝えるようにしています。
眠けが強い薬剤の場合には、自覚しにくいインペアード・パフォーマンスにも注意をしておいたほうがよいでしょう。
なぜなら、どちらも抗ヒスタミン薬の持つ鎮静性と関連があるとされているためです。
インペアード・パフォーマンスが原因で生じた交通事故
インペアード・パフォーマンスによって起こった事故について調べましたが、それと考えられる情報はネットの検索においては以下の1件しかヒットしませんでした。
https://response.jp/article/2008/01/20/104510.html
表に現れていないだけで、本当はもっと多くの事例があるのではないでしょうか。
参考文献・サイト
http://www.jiaio.umin.jp/common/pdf/guide_allergy2021.pdf
Marie L Ancelin et al. BMJ. 2006 332(7539):455-9
Gray S. L. JAMA Intern Med. 2015 175(3):401-7
中村宏洋他. Therapeutic Research 2020 41(4): 351-354
タイトル写真提供|Sam Williams/Pixabay
文章内写真提供|StockSnap/Pixabay