第1世代抗ヒスタミン薬の効果と副作用
この記事でわかること
・抗アレルギー薬の分類
・第1世代抗ヒスタミン薬の効果と副作用
・第1世代抗ヒスタミン薬にはどんなものがあるか
抗アレルギー薬の分類
現在、日本で流通する花粉症で使用する内服の抗アレルギー薬を大雑把に分類すると以下のようになります。
① 第1世代抗ヒスタミン薬
② 第2世代抗ヒスタミン薬
③ 抗ロイコトリエン薬
④ その他の薬剤(トラニラスト、スプラタスト、各種ステロイドなど)
以前は、その他に含まれる薬剤として抗PGD2・TXA2薬のラマトロバンというものがありました。
しかし、ラマトロバンは2023年3月末経過措置が完了して治療の現場から消えています。
今、花粉症の治療に使う飲み薬は、①から④のうちどれかになります。
抗ヒスタミン薬は、花粉症の主力の薬であるのです。
しかし、一部の薬剤を除いて第1世代の抗ヒスタミン薬はあまり使われなくなっています。
なぜなら、眠気の誘発作用が強力だからです。
第1世代抗ヒスタミン薬の効果と副作用
今回は、第1世代抗ヒスタミン薬の効果その効果から生じる副作用について説明します。
アレルゲンとはアレルギーの原因となる物質のことです。
このアレルゲンが体に入ると、肥満細胞からヒスタミンという物質が出て鼻水を出させたり、くしゃみを起こさせたりします。
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが人間の体内にある受容体*と結合しないように遮断する働きを持つ物質のことです。
ただし、ヒスタミンは、脳内で覚醒に関与する物資です。
この覚醒に関する受容体を抗ヒスタミン薬は、遮断してしまいます。
すなわち、ヒスタミンが作用できなくなります。
このため、副作用として眠気が生じるのです。
第1世代抗ヒスタミン薬は、脳のヒスタミン受容体まで遮断することから眠気が問題となります。
*肥満細胞はマスト細胞とも呼ばれ、体中の血管まわりに広く存在している細胞である。
**受容体とは、細胞外からやってくる体内の生理活性物質を選択的に受容するタンパク質のことである。
生理活性物質とは、生体の生命活動や生理機能の維持および調節にかかわる化学物質の総称でこれを受容するとさまざまな生態反応が生じることになる。
第1世代抗ヒスタミン薬
第1世代抗ヒスタミン薬には以下の薬剤があります。
先発薬(薬効成分)で記載します。
タベジールⓇ(クレマスチン)
レスタミンⓇ(ジフェンヒドラミン)
ポララミンⓇ(d-クロルフェニラミン)
ヒベルナⓇ、ビレチアⓇ(プロメタジン)
アタラックスⓇ−P(ヒドロキシジン)
先発薬なし(ホモクロルシクリジン)
ペリアクチンⓇ(シプロヘプタジン)
上記いずれの薬剤の添付文章にも「眠気を催すことがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。」の記載があります。
つまりは、眠気が強く出る可能性があることからこのような表記がなされているということです。
花粉症で鼻詰まりのある人には、抗ロイコトリエン薬という薬剤が向いています。
この薬も多くの場合は、抗ヒスタミン薬と併用することになります。
その他の薬剤も状況によって併用されることが多くあります。
以下から日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会が発行するアレルギー性鼻炎ガイドがダウンロードできます。
花粉症で悩む方の参考になると思います。
http://www.jiaio.umin.jp/common/pdf/guide_allergy2021.pdf
参考にされるよいと思います。
参考文献・サイト
http://www.jiaio.umin.jp/common/pdf/guide_allergy2021.pdf
Kawauchi H. et al. Int J Mol Sci. 2019 20(1):213
タイトル写真提供|Claudio Scott/Pixabay
文章内写真提供|Michal Jarmoluk/Pixabay