医療廃棄物の処理|インスリンの針など

医療廃棄物に対する考え方と廃棄方法

この記事でわかること
・医療廃棄物の考え方
・具体的にどう廃棄したらいいか

医療廃棄物とは
 医療においては、多くの廃棄物が生じます。
 これらの廃棄物には、人体内部に使用するものも含まれます。
 人体内部に使用するものは、使用まで清潔な管理が必要です。
 このため、多くの物品において包装がていねいにならざるを得ないという状況があります。
 また、使用後人間の体液などがついたものは、ほかの人が触れることで感染する可能性があります。
 よって、医療における廃棄物の分類と処理は複雑になりがちです。
 しかし、医療において最優先する必要があるのは、感染が広がらないようにすることです。
 このため、感染を拡大させる廃棄物を確実に管理することは、社会的にも必要なこととなります。
 ただし、医療廃棄物というのは法令上の用語ではなく、正式には「医療関係機関等で医療行為等に伴って排出される廃棄物」といわれます。
 しかし、一般的には医療廃棄物として通用していますので、私のサイトではこの名称で記載いたします。
 それでは、医療現場におけるスタンダードプリコーションという感染予防の対策について説明します。

医療現場におけるスタンダードプリコーション
 まずは、医療現場において感染の予防管理をどのうにしているかについて説明します。
 医療現場においては、スタンダードプリコーション(標準予防策)という考え方に基づいて感染の予防管理をしています。
 スタンダードプリコーションとは、汗を除くすべての血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜は伝播しうる感染性微生物を含んでいる可能性があるという原則に基づいて行われる標準的な感染に対する予防策です。
 感染が疑われる、または確定しているかどうかに関わらず、医療が提供される場におけるすべての患者さんに対して行われるものです。
 標準予防策の主な内容は、手指衛生(手洗い、手指消毒)、個人防護具(手袋、マスク、ガウンなど)の使用、呼吸器衛生(咳エチケット)ですが、その他にも、周辺環境の整備やリネン類の取り扱い、患者さんに使用した機材・器具・機器の取り扱い、安全な注射手技の実施などが含まれます。
 このようにして、患者さんから医療者へ、医療者から患者さんへ感染が広がることのないよう予防の対策を実施して医療を行っています。

医療廃棄物の分類と取り扱い
 医療廃棄物には、医療関係機関等で医療行為等に伴って発生する廃棄物と在宅医療に関わる医療処置に伴い家庭で発生すれる廃棄物(在宅医療廃棄物)があります。
 このうち在宅医療廃棄物は、原則として一般廃棄物に分類されることになるのですが、針のついたもの、使用後に血液が付着しているもの・付着した可能性のあるものは、取り扱いに注意が必要です。
 ウイルスや細菌の感染は、その時点で症状がないなどの状況がありその感染が分かっていなくても、後になって判明することがあります。
 すなわち、家族であっても前述の物品そして血液については、慎重に取り扱う必要があります。

 もう40年近く前のことになりますが、病院に出入りしている業者の人に聞いた話を書きます。
 その業者の方は、善意で病院のごみを処理していて、針が刺さったそうです。
 その方は、後日B型肝炎になり、重症化したためしばらく入院することになったそうです。
 当時は、今と違い注射の針の取り扱いも十分でなかったという背景はありますが、管理が悪いと感染が発生するということがわかります。

自宅で行うこと
 在宅で使用する針など生体内部に入れる操作を必要とするもの、すなわち穿刺が必要なものは、その操作方法を確認してください。
 
 それらは使用後に、自動的に穿刺する部分が何かの覆いにより覆われるか、本人か介護者が穿刺する部分をケースなどでカバーするようになっているはずです。
 使用後、穿刺した部分が、むき出しになっていない状態であることを確認したうえで、硬い容器に入れ、さらにビニール袋で覆ってください。

 ここで、私の体験談を記載します。
 以前、私がインスリンの使用説明を患者さんに行った際、使用済みのインスリンの針を回収しました。
 患者さんから針を受け取った際、針にカバーはかかっていましたが、針の裏側が掌に刺さってしまいました。
 医療従事者でない患者さんは、意識せずに針の裏側を向けて私の掌の上に置いたことによって、このようなことが起きました。
 インスリンの針は、裏側も鋭利です。
 この患者さんが何らかの感染症の保菌者であれば、医療従事者である私が罹患することになります。
 幸い、今までに何らかの病気を発症していませんが、医療を受ける側も医療者側へ影響を及ぼす可能性があることを理解してください。

 今までに記載したことについてまとめます。
1.医療廃棄物は、一般廃棄物とは別に分別してください。
2.針のついたものや使用後に血液が付着しているもの・付着した可能性のあるものは、硬い容器に入れ、さらにビニール袋に覆ってください。
3.この後の処理については、以下「具体的にどう廃棄したらいいか」で説明します。

具体的にどう廃棄したらいいか
 まずは、医療機関、担当医、薬局の指示に従ってください。
 多くの場合、注射の針は薬局で、それ以外のものは医療機関でもらうことになると思います。
 実際にものをもらった先の指示に従うとよいと思われます。
 多くの場合、ものをもらった先で回収してくれるはずです。
 医療機関、担当医、薬局で回収するといわれなかった場合は、実際にものをもらった先か業績窓口に尋ねてください。

参考文献・サイト
https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/safety/infection/index.html
https://www.city.hashima.lg.jp/0000011883.html
https://www.zensanpairen.or.jp/wp/wp-content/themes/sanpai/assets/pdf/disposal/standards_iryokiso.pdf

タイトル写真提供|Mabi
文章内写真提供|dorofeevajana/pixabay, TeemaTuotanto/pixabay

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