第2世代抗ヒスタミン薬の効果と副作用
この記事でわかること
・第2世代抗ヒスタミン薬の効果と副作用
・第2世代抗ヒスタミン薬
・第2世代抗ヒスタミン薬による眠気の副作用
第2世代抗ヒスタミン薬の効果と副作用
前回は、第1世代抗ヒスタミン薬について述べました。
今回は、第2世代抗ヒスタミン薬についてです。
抗ヒスタミン薬といっていますが、ヒスタミン受容体は細かく分かれてH1からH4までが知らてれています。
この細かく別れているそれぞれの分類をサブタイプと言っています。
一般的に抗ヒスタミン薬とは、このH1受容体を遮断する薬剤となります。
前回は、眠気の副作用ばかり書いてしまいましたが、実は口喝も副作用として多くあります。
第1世代抗ヒスタミン薬には、アセチルコリン受容体をブロックしてしまう特徴があるのです。
受容体は薬の作用点ですが、ヒスタミン受容体とアセチルコリン受容体(M1)の形が似ているためこのような作用が起ります。
形の類似率は30%以上で、生物学的には極めて類似している部類に入るようです。
脳内のアセチルコリン受容体を遮断すると、口渇、便秘、悪心、排尿障害などの副作用が生じることになります。
また、この受容体遮断は、緑内障の患者では眼圧を上昇させるなどについて注意が必要でした。
さらに、眠気も強いためふらつき、転倒などを生じさせる危険性から患者へ、この副作用の説明が必要でしたた。
現在では、第1世代の薬剤は花粉症治療において汎用される薬剤ではなくなったという現状があります。
第2世代抗ヒスタミン薬
前述のような問題から、脳内へ移行しにくい第2世代の抗ヒスタミン薬が開発されるようになったのです。
現在では、花粉症治療の主力は、第2世代の抗ヒスタミン薬になっています。
代 表的な薬剤を選んで大雑把な分類をすると以下のようになります。
医療用の商品名 | 一般名 | ジェネリックの有無 | 市販薬の有無 | 特徴 |
タリオンⓇ | ベポタスチン | あり | あり | 比較的強力 |
アレグラⓇ | フェキソフェナジン | あり | あり | 眠気少ない |
アレロックⓇ | オロパタジン | あり | なし | 強力 |
クラリチンⓇ | ロラタジン | あり | あり | 眠気少なく、1日1回服用 |
ザイザルⓇ | レボセチリジン | あり | なし | 生後6か月から使用可能 1日1回服用 |
ビラノアⓇ | ビラスチン | なし | なし | 強力で眠気少ない 食事の影響を受けやすい |
2023.03.16現在
この後、ルパフィンⓇ(ルパタジン)が発売になっています。
ルパフィンⓇは効果が高い薬剤であるのですが、眠気の副作用も強い傾向があるようです。
第2世代抗ヒスタミン薬による眠気の副作用
抗ヒスタミン薬の副作用には個人差があるのですが、その差の原因については個人が持っている代謝酵素の差が関与しているようです。
これについてはっきりさせたくて、調べましたがはっきりとした確証のあるデータは見つかりませんでした。
知っている人がいれば、教えてください。
しかし、副作用の強さは薬剤の開発時に大まかにわかるのです。
人を対象に効果や副作用がどの程度あるかを明らかにする治験を実施するので、これがわかることになります。
それをもって、薬剤の添付文書に記載がなされる訳です。
眠気の副作用が大きく関係するのは、自動車の運転と高所での作業ではないかと思います。
自動車運転への対応は、高所での作業への対応に通じるところがあると考えるべきです。
薬剤の添付文章には、自動車運転についての何も記載のない薬剤、注意の記載のある薬剤、不可の記載のある薬剤があります。
先発薬(一般名)で記載します。
1.添付文書に自動車の運転等の注意の記載がない薬剤
ビラノアⓇ(ビラスチン)
デザレックスⓇ(デスロラタジン)
アレグラⓇ(フェキソフェナジン)
クラリチンⓇ(ロラタジン)
2. 添付文書に自動車運転の際注意を要すると記載のある薬剤
「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」と記載がある。
タリオンⓇ(ベポタスチンベシル)
アレジオンⓇ(エピナスチン)
エバステルⓇ(エバスチン)
3.添付文書に自動車運転は不可との記載のある薬剤
「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」という記載がある。
ルパフィンⓇ(ルパタジン)
ザイザルⓇ(レボセチリジン)
ジルテックⓇ(セチリジン)
アレロックⓇ(オロパタジン)
先発なし(オキサトミド)
ザジテンⓇ(ケトチフェン)
ゼスランⓇ、ニポラジン®(メキタジン)
レミカットⓇ(エメダスチン)
私は、抗ヒスタミン薬の服薬指導をする際、ほぼかならず眠気についての注意ついて話をしています。
服薬指導は、何を優先して説明したり、確認したりするかは薬剤師の判断になるのです。
抗アレルギー薬を服用する場合は、ご自身でその薬剤の添付文書を確認されてもいいと思います。
添付文書は、以下のサイトで確認可能です。
https://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
以前私も関与した研究では、かなりの人が自動車運転不可や注意の薬剤があるということを知らず生活しているという状況でした。
↓英語ですが、ダウンロード可能です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/46/4/46_205/_article/-char/ja/
参考文献・サイト
http://www.jiaio.umin.jp/common/pdf/guide_allergy2021.pdf
Kawauchi H. et al. Int J Mol Sci. 2019 20(1):213
Murakami-Nakayama M. Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 2020 46(4):205-210
https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/antihistamine.html
各薬剤添付文書
タイトル写真提供|jorono/Pixabay
文章内写真提供|diapicard、Johnny_px/Pixabay