薬の知識|お薬手帳

この記事でわかること
・お薬手帳とはなにか
・お薬手帳の利用方法


お薬手帳とは
お薬手帳とは、薬の服用履歴や既往症、アレルギーなど、医療関係者と患者自身に必要な情報を記載する手帳のことを指します。
日本で導入されている個人健康情報管理(Personal Health Record、PHR)の一制度でといえます。
お薬手帳は、1993年に起きた「ソリブジン事件」をきっかけに導入されました。
※ ソリブジン事件とは、ある抗がん薬とある抗ウイルス薬を同時服用したことによって、患者が死亡した事件です。薬の飲み合わせを事前に把握できていれば、防げたと考えられています。
この事件では、異なる病院から抗ウイルス剤と抗がん剤を処方された患者15名が、2つの薬を併用したことにより亡くなりました。
お薬手帳は、いつ・どこで・どのよう薬品を受け取ったかを記録することで、「薬の悪い飲み合わせ」を避けることができ、自分の命を守ることにつながります。
医師、歯科医師および薬剤師が、患者がどのような薬をどのくらいの期間使っているのかを確認するために使用しています。
特に、お薬手帳は、複数の病院を利用する患者の薬物相互作用(飲み合わせ)の管理に有用です。
このほか、患者がお薬手帳に患者自身で市販の薬剤を記載するようにすれば、医療を提供する側だけでなく、患者自身も服薬歴を把握しやすくなるという利点もあります。
なお、最初の文章で記載すると表現したのは、薬局や病院で記載してもらったり、シールを貼ってもらったりする以外に、患者自身が服薬に関係した情報を記載して情報を補完することができるためです。
お薬手帳には、薬局でもらうA6サイズ程度のノートのもののほか、スマートフォンのアプリケーションによるものもあります。

お薬手帳に記載する情報
・氏名・電話番号などの基本情報
氏名は、薬局で記載してくれることが多いですが、記載がない場合は自身で記載しておきましょう。
電話番号、生年月日、住所などを記載する欄が設けられていることがありますが、記載はご自身の判断でいいと思います。
・副作用歴・アレルギーなどの状態
過去に生じた薬剤に対する副作用に対する情報が、参考になることがあります。
同じ成分の薬剤だけでなく、類似の化学構造を持つ薬剤が同じような副作用を起こすことの推定や確定ができることがあります。
また、食品に対する過敏症の情報が、薬剤の副作用を回避することに繋がることがあります。
例えば、卵アレルギーがあり、全身症状あるいはアナフィラキシーショックを起こしたことがあれば、インフルエンザワクチンの接種は控えなければいけません。
お薬手帳により、前述のような情報が医療関係者へ伝わることになります。
・かかりつけの病院・クリニック、歯科、薬局などの情報
備忘録として、かかりつけの病院・クリニック、歯科、薬局などの名称や医師、薬剤師の氏名を記載することもよいことだと思います。
・既往症
今までにかかった大きな病気や手術歴を記載すると医師などが薬剤を処方する際の参考になります。
また、調剤の際もその薬が適切であるかの判断材料になることがあります。
・現在服用中の薬
シールの貼り忘れなどで、使用中の薬剤が記載されていない場合は、記載しておきましょう。
また、使用している市販の薬剤やサプリメントなども記載しましょう。
これらの情報は、受診の際、調剤の際に参考になることがあります。

お薬手帳に記載される情報
病院・クリニック、歯科、薬局のいずれにおいても薬局で薬をもらう際は、薬剤の効果や使用方法が記載されたA4サイズなどの書類とともに薬の名前と使用方法が記載されたシールをもらうと思います。
このシールは、薬をもらう際にお薬手帳に貼ってくれることがあります。
シールをお薬手帳に貼らずに手渡された際は、ご自身で貼ってください。
アプリケーションを使用している場合は、QRコードが印刷された用紙を手渡されると思いますので、スマートフォンで読み込んで登録してください。
※ なお、お薬手帳は、多くの個人情報を踏むため、その取扱いには細心の注意を払うようにしましょう。


お薬手帳利用のすすめ
お薬手帳は、薬を服用しているすべての方に持参することをおすすめします。
日常生活における医療機関の受診や薬局の利用においても役立つだけでなく、災害時や旅行先での医療機関を受診する際、薬局を利用する際にも有用です。
例えば1995年に起きた「阪神・淡路大震災」では、お薬手帳を持っていた方は「処方せん」がなくても、服用中のお薬を受け取ることができました。
お薬手帳は、全国の薬局や病院で無料で配布されています。
また、インターネットでも購入することができます。
さらに、お薬手帳は医療費節約の可能性もあります。
薬局でお薬手帳の内容を見せると、医療費が安くなります。

お薬手帳利用のポイント
お薬手帳は、病院・クリニック、歯科、薬局側から記載された事項だけでも意味がありますが、次の事項を自分で記載するとさらに役立つものとなります。
・服用中の薬が変更となった場合は、その旨を記入する。
・体調の変化や副作用が現れた場合は、その旨を記入する。
これらの情報は、定期的に情報を更新するようにするのが理想です。
可能な範囲で実施してください。

お薬手帳は、患者の安全と適切な医療ケアを支援するために非常に有用なツールです。
日本の医療制度において、特に高齢者や慢性疾患を抱える患者にとって重要な役割を果たしています。
お薬手帳は、常に携帯して、医療機関を受診する際、薬局を利用する際には必ず提示するようにしましょう。

参考文献等
https://www.nichiyaku.or.jp/e-okusuri3/lp2/
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/hokkaido/cat080/okusuritechou/

文章内写真提供|Nathaniel Yeo/Unsplash

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